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パン屋には2種類ある。真っ白な超えられない壁が。

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パン屋に入るとワクワクする。焼きたてパンの香ばしい匂い、頻繁に追加される新メニュー。全部食べきれないほど沢山の種類を前にして胸がときめく。今一番食べたいパンが短時間ですぐに決まることは絶対にないし、ある必要もない。

普通のコッペパンタイプのパン部分は誤魔化しが効かない。美味しいものはプレーンで十分美味しいし、不味いパンは間に何を挟んでも不味いままだ。店の味を確かめるために外せない。

クロワッサンのもちもち食感をアゴが求めている。ただのモチモチではない、シート状に焼き上がったクロワッサンの不規則なもっちり感。巻き巻きした形もキュートで可愛らしい。

揚げパンは美味しい。具なしでもいける。揚げあんパンは魔性。油が好きかというとそうでもないし、小麦に特別な想いもない。しかし組み合わさると化ける。アイハブアパン、アイハブアオイル、最高の揚げパン。

肉が好きだから、ウインナーロールやソーセージクロワッサンがあるか必ずチェックする。鳥の照り焼きサンドにも目が行く。パンを幾つも買うなら、そのうち一つには肉物が欲しいところだ。

いや、違う。ここで好きなパンのアピールをしたいのではない。パン屋さんには2種類あって、その違いが個人的にはパン屋さんの価値を二分するほど決定的である。

ホイップクリームを取り扱っているか否か。生クリームを使った重厚なホイップも植物性油脂から作ったライトなホイップも両方好きだ。ショートニングだろうとトランス脂肪酸だろうと美味しいは正義だ。だがカスタードクリーム、君は呼んでいない。

無類のホイップクリーム好きとしては、入ったパン屋にホイップクリーム系パンが一つもないと分かるとすぐさま踵を返して退店したくなる。自分がここにいる理由を見出せない。

食パンやコッペパンのホイップクリームサンド、チョコクリームのかわりにホイップクリームを注入したホイップクリームコロネ、生クリームロールケーキ、チョコレートがけ生クリームエクレア。パンとホイップクリームのマリアージュによって自分は生まれてきた。

メニュー戦略的にクリームのトッピングを取り扱わないというマーケティング判断なのか、足が速く高コストなクリーム系を業務フローから外したい意図があるのか。

どんな理由があってもホイップクリームの扱いがないパン屋さんは、申し訳有りませんが購買対象にも恋愛対象にもなりえない。ホイップクリームによって建てられたうず高く超えられない壁を食べ尽くしたい。

そんなにホイップクリームが食べたいなら、ホイップクリーム屋さんにでも行けばいい。といわれるまでもなく、そんな夢のようなお店があったらとっくに黙って来店して全メニュー制覇している。

近所は比較的都市なのでパン屋は数だけなら大量に所在している。時間と足を運べる範囲で訪れたが、ホイップクリーム系を一切使っていないパン屋は意外と多かった。偏っていると信じたいが、二軒に一軒は何も買わず退店するに至っている。

この真っ白な超えられない壁を跳躍する方法を一つ知っている。マイマヨネーズならぬ「マイホイップクリーム」を常時携帯することだ。スプレー缶にクリームが封入されていて、ホイップしなくてもクリームが立つ「ザーネワンダー」などのクリームスプレーが市販されている。常温保存できる。

だがそれとてドラキュラが飲むトマトジュース。パティシェレベルのパン屋さんが作ったホイップの高みには到底及ばない。結局はホイップクリームの味にもこだわった美味しいパン屋さんが至高といいう結論に落ち着いてしまう。